暴走する資本主義? (3)
本書が提示するもうひとつの論点として「企業は購入者の利益を考えないと存立できない。したがってウオルマートなどの大企業といえども、消費者の利益に沿った行動をとる。その結果、商品の納入者に対しては価格の引下げやコストの切り下げを要求するから、労働者の利益が害され、地域経済は疲弊する」というのがあります。
この点について考えてみましょう。
ご指摘のことは「資本主義の発展によって大企業が出現し、供給または購入の面で独占的になると、取引相手先や地域経済は圧迫される」という、まことに古典的な独占理論に発するもので、きわめて常識的です。
しかしこのような問題が見通されるからこそ、旧来の日本においては「百貨店法」や「大規模小売店舗法」をつくり、小売業の大型化に対処しようとしていたのでした。つまり地元商店街や地域経済との調整を図りつつ、地域と大型店とが共存共栄の道を探れないかと腐心していたのです。
そのような法規制に対して執拗に攻撃を加え、結局、全面的になくさせてしまったのは、紛れもなくアメリカ政府の圧力でした。日本の小売市場に進出することを企図するアメリカの小売大手の利害に沿った米政府の行動でした。その結果が、日本全国に広がったシャッター通り商店街という、現在の実情です。
したがって冒頭で著者自身が指摘した「大手小売業の独占」から生ずる弊害に対して、著者がどのような処方箋を提示するのか注目されるところです。ところが本書では何ら具体的な言及がありません。探してみましたが「地域に関する公共政策によって対処すべきである」と一般論的に述べているのみです。
アメリカの日本の小売政策への攻撃は明らかな誤りだったと自認するのか、見解を聞きたいところです。ひとたび壊されてしまえば、地域の街や文化や伝統を回復することは容易ではありません。
アメリカのように歴史の浅い資本主義国とは違って、各国にはそれぞれに長い歴史と伝統があります。消費の行動や労働の営みも、それらを基盤としています。一律一辺倒的に自由な企業活動を是認するということでは、豊かな経済社会を築けないでしょう。それぞれの社会がよって立つ文化や伝統に対して敬意を払う資本主義体制を築かなければなりません。
本書において「超資本主義の下では、企業が消費者や株主にいかによく報いているかということにのみ反応する」(p243)というのは、企業(資本)の本性としてもっともなところです。企業が利益追求を第一とすることは当然のことで、利益の黒字を計上することなくして企業は存立できません。
それゆえにこそ、ケースに応じて企業の行動を矯める措置や政策が必要なはずです。株主や消費者の利益はもちろんですが、労働者、地域経済、取引相手など企業活動に関連するさまざまの利害関係者も尊重されなければなりません。この点について著者が「利害者間の資本主義という考えは、20世紀初頭に提唱され1950,60年代の見せかけの黄金時代に体現された」(p242)ものに過ぎないとして一蹴する態度には、どうにも納得がいきません。
この点について考えてみましょう。
ご指摘のことは「資本主義の発展によって大企業が出現し、供給または購入の面で独占的になると、取引相手先や地域経済は圧迫される」という、まことに古典的な独占理論に発するもので、きわめて常識的です。
しかしこのような問題が見通されるからこそ、旧来の日本においては「百貨店法」や「大規模小売店舗法」をつくり、小売業の大型化に対処しようとしていたのでした。つまり地元商店街や地域経済との調整を図りつつ、地域と大型店とが共存共栄の道を探れないかと腐心していたのです。
そのような法規制に対して執拗に攻撃を加え、結局、全面的になくさせてしまったのは、紛れもなくアメリカ政府の圧力でした。日本の小売市場に進出することを企図するアメリカの小売大手の利害に沿った米政府の行動でした。その結果が、日本全国に広がったシャッター通り商店街という、現在の実情です。
したがって冒頭で著者自身が指摘した「大手小売業の独占」から生ずる弊害に対して、著者がどのような処方箋を提示するのか注目されるところです。ところが本書では何ら具体的な言及がありません。探してみましたが「地域に関する公共政策によって対処すべきである」と一般論的に述べているのみです。
アメリカの日本の小売政策への攻撃は明らかな誤りだったと自認するのか、見解を聞きたいところです。ひとたび壊されてしまえば、地域の街や文化や伝統を回復することは容易ではありません。
アメリカのように歴史の浅い資本主義国とは違って、各国にはそれぞれに長い歴史と伝統があります。消費の行動や労働の営みも、それらを基盤としています。一律一辺倒的に自由な企業活動を是認するということでは、豊かな経済社会を築けないでしょう。それぞれの社会がよって立つ文化や伝統に対して敬意を払う資本主義体制を築かなければなりません。
本書において「超資本主義の下では、企業が消費者や株主にいかによく報いているかということにのみ反応する」(p243)というのは、企業(資本)の本性としてもっともなところです。企業が利益追求を第一とすることは当然のことで、利益の黒字を計上することなくして企業は存立できません。
それゆえにこそ、ケースに応じて企業の行動を矯める措置や政策が必要なはずです。株主や消費者の利益はもちろんですが、労働者、地域経済、取引相手など企業活動に関連するさまざまの利害関係者も尊重されなければなりません。この点について著者が「利害者間の資本主義という考えは、20世紀初頭に提唱され1950,60年代の見せかけの黄金時代に体現された」(p242)ものに過ぎないとして一蹴する態度には、どうにも納得がいきません。







>日本の小売市場に進出することを企図するアメリカの小売大手の利害に沿った米政府の行動でした。その結果が、日本全国に広がったシャッター通り商店街という、現在の実情です。
この現状は実に嘆かわしい限りです。これで地方の経済力が弱まり、いよいよ大都市圏へ、経済活動が集中してしまう原因にもなっています。
by アヨアン・イゴカー (2008-10-17 00:14)